

1974年に「オムロン人吉株式会社」として創業。2002年に工場閉鎖の危機を迎えたものの、当時の幹部らが出資し、「人吉アサノ電機株式会社」を設立しました。以降、オムロンリレーアンドデバイス株式会社のパートナー企業としてマグネットリレーの受託生産を行っていましたが、2008年のリーマン・ショックにより取引が前年比4割減少したのをきっかけに、新たな事業の柱として「エレワイズ事業」を立ち上げました。「『何かしなければ』という危機感。その何かを模索する日々でした」と、新事業を一任された常務取締役の浦川敬さん。着目したのが「省エネ」。当時は、2011年に発生した東日本大震災の影響もあり、電気代高騰による経費増が大きな課題でもあった時期。エアコンの使用電力を抑制するためのピーク電力制御装置のニーズは高いものの、機器自体が高額な上、有線接続のため設置費用も高く、償却に10年近くかかると言われていました。そこで2014年に誕生したのが、機器の価格を抑え、低コストで設置できる無線式のピーク電力制御装置「エレワイズ」。設定した目標値に合わせて電力ピークを監視し、ピーク時における電気使用量を自動制御する、時代のニーズを捉えた省エネシステムです。商品化から5年、価格面の優位性と品質、導入効果が評価され、九州電力やふくおかフィナンシャルグループで紹介されるなど、信頼度の高さを誇ります。
「社員の幸福と社会に貢献する会社を目指す」を経営理念としている同社は、工場閉鎖という危機的状況でも、社員を守り地域社会に貢献。従業員への利益還元、地域での清掃活動、地元人材の積極的な採用、さらに自治体とも共同で、「人吉に残りたい」と思ってもらえるような企業を目指し、地元の祭りに参加したり、高校に会社説明に出向くなどの活動を行っています。
“ものづくり”のプロ集団として、自社開発のピーク電力制御装置「エレワイズ」を大きな強みとする同社。2018年1月には新工場も竣工し、成長を続ける企業です。