1929年の創業以来、大麦をはじめ、米やトウモロコシなど日本人にもなじみの深い穀物の加工一筋で歩んできた「西田精麦株式会社」。焼酎や味噌などの原料となる醸造用精麦事業のシェアは全国トップクラスです。また、飼料事業では物流コストを抑え、小ロットにも対応。さらに、A飼料(牛専用飼料)の安定的な供給でも、業界内で高い評価を得ています。同社が近年注力しているのが、麦ごはん用の麦や朝食シリアルとしてのグラノーラ等、麦製品の加工販売。精麦・飼料の需要規模が年々縮小していく中で、食品用加工製品の開発に活路を見出しました。その結果、これまで培った大麦加工技術を活かしつつ、国産素材を使うことで大手企業の既存のグラノーラと差別化を図った「九州大麦グラノーラ」が大ヒット。今後は、OEMやPB商品の開発に力を入れるとともに、県の補助金も活用して建設される新工場にて生産力向上を図ります。
さらに同社では、食品として安全で安定した原材料の調達、各工程の品質管理を徹底しているほか、生産管理から最終消費段階までを追跡できるトレーサビリティ管理を導入。さらに、原材料からの異物除去のほか、天候・環境によって左右される原材料の状態を均一化するため、熟練の技術や最新鋭の機器を駆使し、良い製品を安く作り上げるための創意工夫を続けています。
また、新たに掲げた「穀物を磨き、未来を創る」という経営理念の実現に向け、社内改革にも取り組んでいます。中でもユニークなのが、フラットな組織づくりを目的とした役職制度の廃止。社長から若手社員まで、年齢やキャリアに関係なく意見が出し合えるようになり、社員に考える力や行動力が身に付いたといいます。加えて、若手社員の意見を取り入れ、近年健康効果が注目を集める「オートミール」の加工・商品開発も行なっています。工場新設や社内改革を経て、企業として変革の時を迎えている同社。今後も穀物を通じ、すべての食卓に笑顔を届ける使命を全うしていきます。